(台北中央社)公共放送の公共テレビ(公視)は19日、日本や欧州、台湾のメディア業界の専門家を集め、偽情報対策について話し合うセミナーを開催した。出席者は、偽情報が拡散されている状況やそれぞれが実施している対策を分かち合った。
非政府組織、台湾人工知能実験室の杜奕瑾氏は、海外で偽情報の拡散が深刻になっているとし、主に中国、インド、台湾の間で拡散されていると指摘。一つの偽情報の誤りを暴くと、事実確認済みの情報を攻撃する投稿が10本現れるほどだとし、特にイスラエルとハマスの軍事衝突や米大統領選、台湾の総統選、新型コロナウイルス下で状況が深刻だったと紹介した。
NHK記者の籔内潤也氏は、昨年1月の能登半島地震後にNHKを装った情報や偽の救助要請などが多く出回った他、短文投稿サイトのX(旧ツイッター)で投稿の閲覧数を稼いで収益を得るために、海外のユーザーが日本語の投稿をコピーして投稿する「インプレゾンビ」と呼ばれるアカウントによって偽情報が拡散されたと説明。地震後に流布された偽情報は1日で39万件に達したという。籔内氏はNHKでの対策として、365日・24時間体制でSNS情報の収集を行う専門チーム「ソーシャル・リスニング・チーム(SoLT)」の活動を紹介。AI(人工知能)を活用して情報の真偽や場所を特定し、記者に情報を提供して信頼性のある情報の報道につなげているとした。
セミナーでは、公共テレビと中華テレビ(華視)の報道部門の間で、重大事件が発生した際の正しい情報伝達の強靱(きょうじん)性強化に向けた覚書の調印も併せて行われた。公共テレビの徐秋華総経理(社長)は、重大事件発生時に人々に正しい情報を迅速に提供し、偽情報が社会に与える影響を減少させられればと話した。