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台湾のパフォーマー、特殊詐欺集団にだまされミャンマーで監禁 救出されて帰国

2025/01/14 19:06
警察によって救出された後、14日朝、台湾への帰国前にバンコクのスワンナプーム国際空港で中央社の取材に応じた謝岳鵬さん
警察によって救出された後、14日朝、台湾への帰国前にバンコクのスワンナプーム国際空港で中央社の取材に応じた謝岳鵬さん

(バンコク中央社)台湾のパフォーマーの男性が、偽の求人情報にだまされてタイに渡航し、ミャンマーの特殊詐欺拠点に連れて行かれて詐欺行為への加担を強要されていたことが分かった。男性は台湾とタイ双方の警察の協力によって救出され、14日にタイから台湾に帰国した。

救出されたのは、ファイヤーダンスのパフォーマー、謝岳鵬さん(27)。14日朝、台湾への帰国前にバンコクのスワンナプーム国際空港で中央社の取材に応じた。

謝さんは昨年、フェイスブックで仕事の情報を目にし、履歴書を提出。相手側からはステージ内容や時間、会場の情報に加え、その他の出演者のパフォーマンス動画などが送られ、いずれもきちんとしていたという。出演料の交渉も成立したため、先月25日にタイに向かった。

バンコク到着後、迎えの車に乗り込んだが、車内で仮眠から目覚めると、目的地までの所要時間を過ぎていることに気が付いた。ミャンマーと国境を接するタイ北西部メソトに到着し、手配された旅館で3時間ほど休んでいたところ、出発するよう言われた。その後、川辺まで車で移動し、船で川を越えるよう求められた。対岸に着くと、軍人だらけの車両に押し込まれ、特殊詐欺グループの拠点に連行された。拠点に着くとオンライン詐欺の実行役を命じられ、グループを抜ける条件として3万米ドル(約473万円)を要求された。

謝さんは小さい部屋に押し込まれ、7、8人の軍人から手錠をかけられ、殴る蹴るの暴行を受けた。携帯電話も没収され、手錠をかけられたまま監禁された。部屋から出されたのは5日後だった。その後、オフィスでパソコンを触った際、一か八かで友人や家族に助けを求めるメッセージを送った謝さん。だが、メッセージを送信したことを責任者に気付かれ、近くの軍事基地に連れて行かれて罰を受けた。基地には9日間閉じ込められていたという。

謝さんの家族は謝さんの位置情報がミャンマーで途絶え、数万ドルの身代金を要求されていることを知り、台湾の警察に通報。内政部(内務省)移民署駐タイ警察官や台湾国際詐欺対策協会、駐ミャンマー代表処(大使館に相当)が救出に動き、タイ観光警察の協力も得て謝さんの救出に成功した。

謝さんは、メソトの旅館に着くまではまだタイ国内だったこともあり、異常だとは思わなかったと明かす。川を渡って銃を持った軍人を目にし、知らない言葉が聞こえてきて初めておかしいと気付いた。だが、時すでに遅しだったと振り返る。

今回の経験から、謝さんは今後、詐欺被害に遭わないための啓発活動に携わりたいと話す。用意された航空券の往路と復路で航空会社が異なっていたり、車で移動する際に所要時間が予定の時間を超えていたりした場合には警戒するべきだと注意喚起し、携帯電話の位置情報をオンにするとともに、周辺の風景や建物を記録し、必要な時には持ち物を捨てて逃げるよう呼びかけた。

台湾人や中国人がだまされてミャンマーの特殊詐欺拠点に連れて行かれるケースが相次いでいる。最近も、中国の若手俳優がタイで誘拐され、オンライン詐欺の実行役を強要される事件があり、中国社会を揺るがしている。

謝さんによると、特殊詐欺グループの幹部は全員中国人で、実行役の9割は中国人や台湾人、香港人、マレーシア人などの中国語話者だったという。

(呂欣憓/編集:名切千絵)

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