(台北中央社)台北市大安区内の歩道橋「和平新生歩道橋」について、台北市政府は19日、同日から撤去工事を開始すると発表した。数々の映画やミュージックビデオ(MV)でロケ地として採用された同歩道橋の撤去に当たっては、市民団体から反対の声が上がっていたが、市側は文化資産としての潜在力はないと判断した。
大型公園「大安森林公園」南側の、新生南路と和平東路の交差点に架かるロの字型の同歩道橋。1982年7月に完成した。市はすでに使用期限に達していることや、周辺の交通安全環境の整備状況、道路設計の考え方の変化などを背景に撤去を決めたが、先月末に工事予定を掲示すると強い反発を招いた。反対の声を受け、市は今月4日に予定していた撤去工事の開始を先送りしていた。
市民団体は5日までに、歩道橋に文化資産としての価値があるとして市文化局に審査などを行うよう申請。同局が招集した文化資産審議会の委員6人が13日に申請者、市民、市の関連部局の意見を聴取し、現場視察を行った。同局によれば委員らは十分に理解を深めた後、同歩道橋は文化資産法などが定める登録基準を備えていないと全員一致で判断したという。
市工務局新建工程処は、撤去工事は交通量が少ない夜11時から翌朝6時までの間に行うと説明。工事期間は今月30日までとしている。
同歩道橋で撮影された映画には、エドワード・ヤン(楊徳昌)監督の「ヤンヤン 夏の想い出」(一一、2000年)やアン・リー(李安)監督の「恋人たちの食卓」(飲食男女、1994年)などがある。人気歌手、レイニー・ヤン(楊丞琳)やロックバンドのメイデイ(五月天)、韓国のアイドルグループ「少女時代」のヒョヨンなどの楽曲のMVにもこの橋が登場する。