東部・宜蘭県と花蓮県を結ぶ幹線道路「蘇花公路」のバイパス「蘇花改」。その沿線に生息する野生生物の個体数が着工から開通するまでの10数年間、次第に回復していることが分かった。行政院(内閣)農業委員会特有生物研究保育センター(南投県)が18日、報道資料で明らかにした。
蘇花公路は断崖絶壁に面しており、道路幅が狭い上にカーブも多く、事故や災害が多発していた。それを改善しようと、政府は2011年1月にバイパス整備工事に着工し、20年1月に全線開通した。工事による生態系への影響を把握するため、同センターは12年から交通部(交通省)の依頼を受けてバイパス沿線の環境モニタリング調査を進めてきた。
同センターの統計によれば、21年の時点で沿線において哺乳類や鳥類、爬虫類、両生類、淡水魚類、エビ類、カニ類、チョウ目、維管束植物など計13の生物種のリストが確認された。各種生物に関する研究データは20万点を超え、生物多様性の豊かな地域であることがうかがえる。
中には台湾希少種または固有種とされるタイワンカモシカやカザノワシ、コウライキジなどが含まれた他、キエリテンやタイペイアオガエルなどが新たに観測されたという。同センターは、蘇花改の開通に伴い、生物群集が回復しただけでなく、バイパスでの「ロードキル」発生件数も昨年は41件と一般道よりはるかに少ないと指摘。ロードキルが発生しやすい地点があった場合、引き続き改善計画を提出していくとした。