無任所大使で元数位発展部長(デジタル発展相)の唐鳳(オードリー・タン)氏が26日、中央通訊社(中央社)主催の学生向けのイベントで、人工知能(AI)をテーマに講演した。参加者に対し、AIは「仁」工知能であるべきだと話した。
近年でAIがどのように生活に入り込んできたかについて唐氏は、SNSがアルゴリズム(計算手法)によって利用者の関心に合った内容を表示する仕組みを一例として挙げた。このような「カスタムメード」な手法は、意見の分極化やポピュリズムを生み出していると指摘した。
唐氏が提言する「仁工知能」は、他者への思いやりという「美徳」を組み込むことだと説明。ユーザーは仁愛(思いやり、慈愛)の心を持つか、それとも「為富不仁」(富のために思いやりを持たない)であるかを選択できると述べ、示唆を与えた。
また「AIが人類にとって代わる」という考えを巡っては、人々が予言を信じて行動することによってそれが現実になる現象「予言の自己成就」を起こすべきではないとした上で、「これらの横暴な言説には反抗すべき」と主張。例として、仮にAIが「財務的リスクが高い」と判断した人に対し、銀行がこの判断を基に融資を拒否した場合、その人は資金を得られず財務危機に陥り、予言を現実化させることにつながると解説した。
その上で、「人がAIに取って代わられることも避けられなくはない」とする唐氏。不確実性があることは良い知らせだとし、「未来はまだ書かれていない。その未来を書く人は、この部屋にいる人たちだ」と参加した学生らに語りかけた。

