(台北中央社)国家文化芸術基金会の元董事長(会長)で詩人の李魁賢さんが15日、死去した。享年87。批判的精神に富んだ作品など1000編以上の詩作を発表した他、5000編以上の翻訳を手がけた。またドイツ語圏の詩人、リルケの研究にも取り組むなど、詩壇に大きな影響を与えた。
日本統治時代の1937(昭和12)年、台北生まれ。国家文芸賞の公式サイトによれば、16歳の頃に雑誌「野風」で自作を発表した。同賞や呉濁流文学賞(新詩賞)など台湾の賞の他、英国やインドでも受賞した。作品は日本や韓国、カナダ、オランダなど10カ国以上で翻訳されている。
21世紀に入ってからは訪問団を組んで海外の詩歌関連行事に出席。国内でも国際イベントを開催したり、海外の詩人を招いたりした。
生前、詩人は時代を批判する立場を捨ててはならず、「生まれながらの在野の代弁者」だと主張。国家の隆盛は武力や政治、経済の力ではなく、その国の文学の発展ぶりを見て測るものだと話していた。
遺族によれば、故人の遺志で葬儀は行わず、お別れの会の実施を検討しているという。