中央通訊社は20日、2024年の台湾10大ニュースを発表した。総統選や野球の世界大会「プレミア12」での初優勝などが選ばれた。
今年1月1日から11月27日までの期間を対象に、中央社が選んだ。
①総統選で頼清徳氏が勝利 民進党が政権運営3期目に
総統選が1月13日に投開票され、民進党の総統候補、頼清德(らいせいとく)氏と副総統候補、蕭美琴(しょうびきん)氏のペアが当選し、民進党が3期連続で政権運営を担うことが決まった。一方、同日実施された立法委員(国会議員)選(定数113)では民進党が51議席と過半数割れし、野党・国民党が52議席で議会第1党に返り咲いた。新政権は5月20日に発足し、卓栄泰(たくえいたい)氏が行政院長(首相)に就任した。
②プレミア12で初優勝 台湾野球史上に残る大快挙
11月24日、東京ドームで行われたプレミア12決勝で台湾代表が日本を破り、初優勝を飾った。台湾が野球の三大国際大会(五輪、WBC、プレミア12)で優勝するのは初めてで、トップチームが世界大会の決勝に進むのも32年ぶりだった。この歴史的快挙に台湾中が沸いた。
③柯文哲前台北市長が汚職容疑で勾留
台北市に建設中の商業施設「京華広場」(旧京華城)などを巡る汚職容疑で、台湾台北地方法院(地裁)は9月5日、第2野党・民衆党主席(党首)の柯文哲(かぶんてつ)前台北市長に対する台湾台北地方検察署(地検)の勾留・接見禁止請求を認めた。
④パリ五輪、過去2番目の好成績
7月26日から8月11日まで開かれたパリ五輪で、台湾は金2個、銅5個の計7個のメダルを獲得し、東京2020大会に次ぐ過去2番目の好成績を収めた。バドミントン男子ダブルスで李洋・王斉麟組が2連覇を果たし、ボクシング女子57キロ級の林郁婷は初の金メダルを手にした。
⑤東部沖でM7.2の地震 18人死亡
4月3日、台湾東部沖を震源とするマグニチュード(M)7.2の地震が発生し、台湾本島全域で揺れが観測された。台湾付近で起きた地震としては、1999年9月21日の台湾大地震(M7.3)以降で最大の規模だった。東部・花蓮市内でビルが倒壊するなどし、台湾全土で18人が死亡、1155人が負傷した。
⑥国会職権関連法案に市民が連日抗議
5月、国会職権関連法改正案を巡り、議会がブラックボックス化していることなどに対する抗議活動が連日繰り広げられた。5月24日には立法院周辺に市民10万人超(主催者発表)が集結し、抗議の声を上げた。改正法案は同28日、立法院院会(国会本会議)で可決された。後に総統府や行政院(内閣)などは関連法の違憲審査を請求し、憲法法廷は10月25日、一部条文を違憲だとする判決を言い渡した。
⑦頼総統「中華民国は中華人民共和国と互いに隷属しない」 繰り返し表明
頼総統は5月20日の総統就任演説、10月10日の中華民国国慶日(国家の日)祝賀式典の演説で、「中華民国は中華人民共和国と互いに隷属しない」との立場を繰り返し表明した。
⑧年間3個の台風が上陸 直近16年で最多
今年、台湾には台風3号(7月25日)、18号(10月3日)、21号(10月31日)の三つの台風が上陸した。3個以上の台風が上陸するのは2008年(4個)以来だった。
⑨AIブームで台湾株上昇
AIブームを背景に、台湾株式市場は3月、加権指数が2万ポイントの大台を突破した。6月初旬にはエヌビディアのジェンスン・フアン(黄仁勳)氏やアドバンスト・マイクロ ・デバイセズ(AMD)のリサ・スー (蘇姿丰)氏、インテルのパット・ゲルシンガー氏ら半導体の国際的大手企業の最高経営責任者(CEO)が台北市内で開かれたICT(情報通信技術)産業見本市「コンピューテックス」(台北国際電脳展)に集結し、さらに旋風を巻き起こした。半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の株価も右肩上がりに上昇し、7月4日には初の1000台湾元を超えた。
⑩死刑囚37人が違憲審査申し立て 憲法法廷、死刑制度は「条件付きで合憲」
死刑制度は憲法違反に当たるとして、死刑囚37人が違憲審査と執行停止を求めた裁判で、憲法法廷は9月20日、死刑は犯罪の度合いが最も深刻で、刑事手続きが憲法の最も厳密で正当な法的手続きの要求に合致する場合にのみ適用できるとし、この範囲内では憲法が保障する生命権には違反しないとの判決を言い渡した。
(編集:名切千絵)