台北市の文化施設「紀州庵文学森林」が13周年を迎え、23、24両日に記念イベントが開かれた。同施設は和歌山市出身の平松徳松氏が1917(大正6)年に高級料亭として建てた「紀州庵」を修復して利用しており、イベントには和歌山市の洲嵜敬一郎観光国際部長も出席した。
紀州庵は戦後、政府の職員宿舎として使用されたものの2度の火事で本館と別館が消失。辛うじて残った離れが2004年に台北市政府文化局に古跡として登録され、14年に修復完了した。紀州庵文学森林は11年、当時修復中だった離れの隣に建てられた新館で運営を始めた。以来13年にわたり、展示や講座、出版などを通じて文学の普及活動を行っている。
イベントでは日本の喜多流能楽師による能楽の公演やコンサート、和歌山市の観光PR、施設が発刊した新書に関する座談会などが行われた。能楽とピアノのコラボレーションも披露された。
施設の封徳屏館長は、各界の長期にわたるサポートや励ましがなければこの日を迎えられなかったとあいさつ。今後も文学の種をまき続けると語った。