(東京中央社)台湾高速鉄道(高鉄)が導入を予定する新型車両「N700ST」の製造が進んでいる。現行車両の700Tと比べ、客室上部の荷物棚が大型化される他、普通車座席のモケットのベースカラーが青緑からライトブルーに変わり、台湾の山をイメージしたデザインになる見込みだ。
高鉄の鄒衡蕪副総経理(副社長)は普通車座席について「台湾は多くの山がある島国だ」とし、「モケットデザインは台湾の特色により近づけた」と説明。ビジネスクラス座席については、紫から褐色に変更し、安定感や落ち着きなどを表現したと語った。
座席はリクライニングすると背もたれと連動して座面が沈み込むようになり、特にビジネスクラスでは包み込まれるような座り心地になる。
さらに全席にコンセントが設置される。客室上部の荷物棚は700Tよりも奥行きを広げ、26インチのスーツケースが収納できるようになる。荷物置き場も拡大され、トイレには温水洗浄便座が導入される。
N700STは、2027年下半期から営業運転に投入される予定。高鉄の史哲董事長(会長)は、第1編成は来年中ごろに台湾に到着し、その後2~3カ月ごとに新しい車両が増えると述べた。
高鉄の年間輸送人員は新型コロナウイルス流行前に延べ6000万人余りだったのに対し、24年には延べ7800万人に増加した。N700STの投入でピーク時には約25%の輸送力増強が見込まれる。史董事長は、引き続きサービス品質の向上に努め、将来的にバランスの取れた台湾で重要な役割を果たしたいと意欲を示した。