(台北 12日 中央社)盛夏を思わせる太陽が照りつける5月のある日、日本軍人を神として祭っていることで知られる台南市安南区の飛虎将軍廟を訪れた。台南市の中心部から友人が運転するスクーターに跨り約20分。幹線道路から脇にそれた住宅街の中にたたずむ廟は、一見すると台湾各地にみられるものと変わりはないが、一礼して中に入ると目に飛び込んできたのは、中華民国国旗に並んで掲げられた日の丸だった。
ただ、台湾の廟ではたくさんの神像が合祀されることもある中、ここに祭られているのは、特異な建立の経緯もあり杉浦少尉ただ一人。廟を守り、語り継ぐ人がいなければ、ここに誰が祭られ、どんな歴史があったのか知る人がいなくなってしまう。地元の人の努力に感謝するとともに、報道に携わる者として、一人の日本人として伝え続けなければいけないと痛感し、再訪を誓った。
(齊藤啓介)