(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統の単独インタビューが13日付の日本経済新聞に掲載された。頼総統が日本メディアのインタビューに答えたのは就任後初めて。関係筋は、頼総統が総統就任から満1年を迎えるのを目前にしたタイミングで日本メディアのインタビューに応じたことは、三つの意義を浮き彫りにしたと分析する。
同紙は頼総統のインタビューを1面トップと見開き2面にわたって掲載した。関係筋は、インド太平洋地域における頼総統の指導者としての地位が重視されていることが見て取れると話す。インタビューの内容は台米関係、台日関係、両岸(台湾と中国)関係から国際的な経済情勢の変化、半導体産業まで多岐にわたった。
関係筋は、一つ目の意義は台日の2者間関係の深化にあると指摘。頼総統は台湾に対する日本の長年の強力な支援に感謝を述べており、インタビューを通じて台日関係の増進を図ったとの見方を示す。
また、頼総統が台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加入に向けた日本の支援や日本との経済連携協定(EPA)締結、日本を含む民主主義の盟友が「世界半導体民主主義サプライチェーン・パートナーシップ・イニシアチブ」に参加することを望む立場を繰り返し伝えたことに触れ、インド太平洋地域や国際社会で日本がリーダーの役割を果たすことを望む姿勢を示したと分析した。
二つ目の意義としては、民主主義陣営が共同で一方的な行為を抑止するという説明をしっかりと行い、民主主義陣営の立場を浮き彫りにしたことを挙げる。台湾は中国などの権威主義国家の挑戦を前に、国際社会に引き続き立場を説明し、正確なメッセージを発信していかなければならないと関係筋は強調する。
また、頼総統が台日が共に直面する挑戦を直接指摘したことは、台湾が積極的に自力救済し、自身の力を強化するだけでなく、日本や米国などの友好国や民主主義陣営と団結して共に全体主義に対抗していくという意思の表れだとした。
三つ目は、民主主義または経済の価値であれ、台湾がポジティブな力を貢献できることを強調したことにあると指摘。頼総統はグローバリズムにおける米国の重要な役割を肯定し、台湾は米国の再工業化を支援できるとアピールした。さらに、台湾と日本、その他の国は必ずしも米国と中国の間で選択をする必要はなく、民主主義の憲政体制を選ぶか、専制独裁体制に後戻りするかという価値の選択だと強調した。関係筋は、頼総統は地域の平和と安定の維持や産業、経済、気候変動において、台湾が世界にさらなる貢献をする力と意欲を有することを訴えたとの見方を示した。