(台北中央社)立法院(国会)で2025年度中央政府予算案の審議が行われる中、野党が3000件余りの項目に対して予算の大幅削減を提案している。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は16日、予算削減は国家の弱体化を招くとし、理性的に審査するよう野党に呼びかけた。野党案が可決された場合、審議のやり直し(再議)を申し立てる可能性も示唆した。
今年度予算案を巡り、野党・国民党と民衆党は各部会(省庁)の宣伝や事業に関する予算計3000件余りを削減または凍結する案を提出した。昨年1月の立法委員(国会議員)選で与党・民進党が過半数割れを喫し、立法院では野党が「数の力」を有する。
行政院(内閣)は16日、記者会見を開き、野党案によって生じ得る影響を説明した。卓氏は、立法院が有する権力の行使は国家の利益を前提とし、憂さ晴らし、ひいては報復的に予算を審査することに用いてはならないと言明。野党から提出された予算削減案は五つの面で国家の発展を弱体化させることになると指摘し、弱体化する恐れのあるものとして(1)国家全体の競争力(2)国家の安全を守る防衛力(3)科学技術の発展の優位性を維持する力(4)全公務員の業務効率や学習、進歩能力(5)政府と人々の意思疎通能力、重要政策の説明能力―を挙げた。
再議を申し立てる可能性については「立法院次第だ」とし、立法院が感情的で報復的な予算の削減と凍結を改めない場合は必要な措置を取る方針を示した。一方で、再議の申し立てには総統の許可が必要となるため、再議請求について断言はできないと述べた。