中部・彰化県芳苑郷の潮間帯では、牛を利用して農作業やカキの収穫を行う風習が残っている。牛は海に入り、カキを収穫したり運んだりするため、この習わしは「海牛文化」と呼ばれ、同県の無形文化遺産に指定されている。だが、最近、2頭も続けて病気で死んだため、無形文化遺産が存続の危機にひんしていることが懸念されている。
「海牛文化」の保存・推進に取り組む施設「海牛学校」を主宰する魏清水さんは中央社の取材に対し、芳苑一帯では「海牛」と呼ばれる牛が10頭いると言及。大部分は観光用だが、観光客やカキの運搬に使用可能なのが3頭のみで、2頭の急死で現在仕事できる牛は1頭だけしかないと説明した。
魏さんによれば、死んだ2頭は約8歳で、人間で言うと30代の「働き盛り」だった。海辺に行ってカキを運搬したりエコツーリズムのため、お客さんを乗せた牛車を引いたりしていた。
今月1日、1頭が牛車を引く作業を終えたところ、四肢の脱力が見られ、獣医師に診てもらったが4日に死亡が確認された。もう1頭もここ数日、体調不良で食事を取ることができず、10日正午に死んだ。
同県文化局は「海牛文化」を消失の危機から守ろうと、「海牛学校」による政府からの補助金申請をサポートする方針。
(編集:荘麗玲)