(台北中央社)日本統治時代に茶屋「辻利茶舗」として使われた台北市中正区の建物が市定古跡に登録されることが26日、市の文化資産審議委員会で決まった。所有権者は数年内に同建物が100年前の姿を取り戻し、再利用されることに期待を寄せている。
市定古跡に登録されたのは、重慶南路1段104号の建物。現在はスターバックスコーヒーが入居している。一帯は日本時代には栄町と呼ばれ、台北随一の繁華街として賑わった。
所有権者側の代表者によれば、建物は1912(大正元)年に建設。当時「民間総督」とも呼ばれた実業家の三好徳三郎が茶屋「辻利茶舗」(現在の祇園辻利)を開業した。1階には店舗と栄町郵便局が入居し、2階は居住空間として使われた。戦後、辻利茶舗は台湾から引き揚げ、建物の所有者が変わると、56年に3階部分が増築された。だがマンサード屋根や木造のスラブ(床版)、建物の元の形式はいずれも残っているため、修復によって元の姿を取り戻せる見込みがあるという。
市定古跡への登録は所有権者から申請があった。市の審議委員会は5月と今月の2度にわたって建物を訪れ、現地調査を実施。建物の保存が完全で、高い歴史的価値を有している他、建物が当時の栄町の発展と繁栄を見守り、日本時代の町家建築の建設技術と特色を表しているとして、古跡への指定に同意することを提言した。
通りを挟んだ向かい側の二つの建物が市定古跡に登録されたことから、旧辻利茶舗も市定古跡として保存されるよう望む声が上がっていた。