(南投中央社)中部・南投県水里郷で1937(昭和12)年に郵便局として建てられた木造建築の取り壊しが、28日までに始まった。老朽化により倒壊の危険性があり、専門家からは「修復は不可能」と判断されたものの、地域の一部住民はやるせない気持ちをにじませている。
土地を共同で所有する台湾郵政協会と台湾電信協会(いずれも台北市)は中央社の取材に応じ、これまで各地の古い郵便局を修復し再利用してきたが、今回のケースでは建物の柱などが激しく損壊しており、建築士から修復は不可能だと評価されたと説明。取り壊し前に近隣住民を訪問して説明した際には、大きな反対の声はなかったと話した。事前に関係機関のウェブサイトを当たり、文化資産保存法が定める古跡や歴史建築に該当しないことを確認したと補足した。
取り壊し後の土地については、環境に配慮した形で利用を計画しているとし、現時点で具体案はなく、地域からアイデアが出されれば考慮に入れると述べた。
水里郷の歴史や文化について投稿しているフェイスブックページ「恋恋水里」は、全てがヒノキ材で建てられた日本統治時代から残る郵便局は同所しか残っていなかったと指摘。建物の保存が選択肢になかったことは、地域の文化財保存に対する意識が希薄なことの表れだとし、取り壊しの運命を逃れられなかったのは非常にやるせないとの思いをつづった。
同ページによれば建物は99年の台湾大地震で被害を受けるまで郵便局として使用されていたが、その後は放置されていたという。