日本統治時代に現在の中部・彰化県田中鎮に建立された「田中神社」の跡地で、唯一現存する建物である「祭器庫」が取り壊しの危機に直面しているとの通報が25日までに文化部(文化省)に入った。県文化局は同日、職員を現地に派遣し、祭器庫を「暫定古跡」に指定した。
国立台湾歴史博物館が運営するデータベース「国家文化記憶庫」の資料によれば、田中神社は1939(昭和14)年創建。明治天皇と、その義理の叔父である北白川宮能久親王を祭っていた。第2次世界大戦終結後、皇民化政策が色濃く反映された同神社は廃止され、鄭成功を祭る「鎮安宮」となった。57年には同所に「鼓山寺」が建立され、元の建築物は徐々に撤去された。現在残るのは主に祭器庫や灯籠、碑石のみとなっている。
県文化局によれば、土地の所有者である鼓山寺は「撤去工事は予定しておらず、簡易的な土木工事のために小型のショベルカーをたまたま祭器庫のそばに置いていただけだ」と説明しているという。