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「大学の社会的責任賞」、日本人研究員が所属校の受賞に貢献 「国際交流さらに」/台湾

2024/04/12 11:35
大学の社会的責任(USR)プロジェクトに取り組む中華医事科技大学の学生ら(野口英佑さん提供)
大学の社会的責任(USR)プロジェクトに取り組む中華医事科技大学の学生ら(野口英佑さん提供)

(台北中央社)人材育成や地域との連携、国際交流などに注力した大学を表彰する「大学の社会的責任(USR)賞」で、南部・台南市の中華医事科技大学の取り組みが「地域との融和」部門でトップ賞に輝いた。同大でUSRの実践に携わる日本人博士研究員、野口英佑さんも受賞に貢献。9日に台北市で開かれた授賞式で「取り組んできたことが評価された」と喜び、今後の活動の励みにしたいと意気込んでいる。

USRは、大学が社会に貢献できる人材の育成や地域との連携などに取り組むプロジェクトで、2018年から教育部(教育省)が本格的に推進し、台湾の多くの大学が取り組んでいる。同賞は経済誌「遠見雑誌」が主催し、今回で5回目。54の大学から171件の応募があり、人材育成や産学連携、福祉共生など7部門で審査された。

今回受賞したのは、カフェ開業を希望する住民のために、台南市の山間部に位置する南化区で、マンゴーやドラゴンフルーツなどの規格外品を使ったジェラートの開発を支援した取り組み。学生が協力して開店準備を手伝ったり、地元高齢者が店員体験をしたりするなどの地域活性化に取り組んできた。また海外の学生や研究者に自校の取り組みを紹介し、実際に農業体験をしてもらうなどした。

23年11月、同大に着任した野口さんは、台南市を訪問した日本の学生や研究者に、支援したカフェの視察や地元住民との交流、農業体験をしてもらう取り組みを複数回実施した。

手探り状態で始めたが、特に農業体験や地元高齢者との交流が好評だったという。「畑作業に夢中になったり、日本語が話せるお年寄りと交流したりして、日本からの学生も先生も刺激を受けていた」と手応えを感じた。野口さん自身、地域に根ざした活動をすることで「これまで知らなかった台湾のことや、台南の山間部の課題についてより深く知ることができている」と語った。

今後も日本との交流を企画しているといい、今月13、14の両日には、高齢化社会をテーマに台日双方の若者や学者が集うフォーラムを台南市で開く。野口さんは「USRを通して、日本と台湾の架け橋となれるよう頑張りたい」と力を込めた。

孫逸民学長は、自校のUSRについて、医療系の学生たちに、ホスピタリティや責任感を培ってもらうことを期待したプロジェクトだと説明。トップ賞受賞は「全ての先生と学生が一緒に努力してきたことで、非常に光栄」と話し、野口さんについて「任せた仕事を責任を持って遂行する力を徐々に付けてきている」と評価した。今後の国際交流では、日本の大学や専門機関へ行って学び、交流したいと述べた。

(中村充孝)

左から中華医事科技大学の野口英佑博士研究員、孫逸民学長、王靖婷副教授(准教授)
左から中華医事科技大学の野口英佑博士研究員、孫逸民学長、王靖婷副教授(准教授)
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