中央通訊社は2023年の台湾の10大ニュースを選びました。重要ニュースを通じ、今年の台湾を振り返ります。(対象期間:2023年11月27日まで)
【1位】総統選 野党連合成立ならず
2024年1月13日に投開票される総統選を前に、与党・民進党の総統候補、頼清徳(らいせいとく)副総統に支持率で後塵を拝していた最大野党・国民党と第2野党の民衆党は政権交代実現に向けて野党共闘の道を立候補届け出締め切りの間際まで模索していたが、統一候補の選出方法で折り合いがつかず、物別れに終わった。両党は立候補受け付け最終日の11月24日、それぞれ立候補を届け出た。署名推薦で立候補の資格を得ていた鴻海(ホンハイ)創業者の郭台銘(かくたいめい)氏は24日、立候補をしないと発表し、総統選は民進党、国民党、民衆党の三つどもえの戦いになることが決まった。
【2位】台湾版「#MeToo」広がる
5月末ごろから、セクシャルハラスメントや性暴力を告発する「#MeToo」が芸能界や政界、学術界など各界で広がりを見せた。きっかけになったのは、台湾で今春話題を呼んだドラマ「WAVE MAKERS ~選挙の人々~」(人選之人—造浪者)。与党・民進党の元職員が党内でのセクハラ被害を告発したのを皮切りに、被害者からの告発が相次ぎ、各界の著名人の加害が表沙汰になった。#MeTooの広がりを受け、行政院(内閣)は7月、ジェンダー平等関連3法の改正案を決定。改正案には上下関係を利用したセクハラに対して刑を加重することなどが盛り込まれた。
【3位】卵不足、輸入卵巡る問題も噴出
2月以降、卵不足が深刻化した。品薄を解消しようと、政府は卵の輸入を開始したものの、後に大量の輸入卵が賞味期限切れなどで廃棄されていることが分かり、批判が噴出した。この問題で9月、陳吉仲(ちんきちちゅう)農業部長(農相)が辞任した。
【4位】台湾初の国産潜水艦「海鯤」進水
台湾初の国産潜水艦「海鯤」の命名・進水式が9月28日、南部・高雄市の台湾国際造船(台船)で開かれ、蔡英文(さいえいぶん)総統が出席した。2024年末までに海軍に引き渡される見通し。
【5位】義務兵役の期間、24年から1年に延長
18歳以上の男子に義務付けている兵役の期間が2024年1月1日から、現行の4カ月から1年に延長されることが昨年末発表された。また、予備役を再訓練する「教育召集」制度で女性志願者を初めて募集し、今年5月の訓練に女性が参加した。
【6位】屏東のゴルフ用品工場で爆発 10人死亡
9月22日に南部・屏東県内のゴルフ用品工場で火災と爆発が発生し、消防隊員4人を含む10人が死亡、113人が負傷した。
【7位】蔡総統、マッカーシー米下院議長と会談 断交後最高位
蔡英文(さいえいぶん)総統は4月5日、米ロサンゼルスの郊外のロナルド・レーガン大統領図書館でマッカーシー米下院議長と会談した。1979年の米国との断交後、中華民国総統が米国内で会談した米国の要人としては最高位となった。中国は同8日から10日にかけて台湾周辺で軍事演習を行い、台湾海峡情勢に緊張が走った。
【8位】TSMCが海外への工場設置を拡大
地政学的な緊張が高まる中、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は海外への生産拠点設置を引き続き進めている。建設中の熊本工場は来年末、米アリゾナ工場は25年に生産を開始する見通し。今年に入り、熊本県に2番目の工場を建設する可能性を検討していることを明らかにした他、8月にはドイツ・ドレスデンに工場を建設する計画を発表した。
【9位】杭州アジア大会で好成績 金メダル歴代最多タイ
中国・杭州で9月23日から10月8日まで開かれたアジア大会で、台湾代表は1998年のバンコク大会と並んで歴代最多となる19個の金メダルを獲得した。
【10位】ホンジュラスと断交
中華民国は3月26日、中米ホンジュラスとの外交関係断絶を発表した。これにより、外交関係を結ぶ国は13カ国となった。ホンジュラスは同日、中国との国交樹立を発表した。
(編集:名切千絵)