(台北中央社)トランプ米大統領が昨年の大統領選中に「台湾は米国から半導体産業を奪った」と訴えたことに対し、経済や国際金融の専門家でもある総統府の陳博志(ちんはくし)資政(顧問)は17日、中央社の単独インタビューに応じ、トランプ氏の主張は「不正確で誤解」だと反論した。「台湾がいるからこそ米国は勝てる」と述べ、台湾と米国の半導体産業が長年、高度に相互補完の関係にあることを強調した。
陳氏は、台湾の半導体産業は米国の支援によって発展し始め、最も初期の技術は米国から提供され、人材も米国によって訓練を受けたと言及。高度に自由である資本主義社会の米国では、新たな技術や一連の生産プロセスがコストの関係から次第に海外に移され、その技術などが奪われることもよくあるとしつつ、半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)を含め、台湾企業は忠実な協力者であり、あるいは企業自身や台湾の経済規模に制限されているため、顧客の製品や技術を奪うことは比較的ないとし、だからこそ台湾と米国の半導体関連産業は安心して連携できるとの考えを示した。
また、台湾の半導体産業が米国から圧力を受ければ、一部の人材は中国に吸収され、かえって米国を傷つけることになると指摘。その上で、台湾は論説を強化させる必要があると訴えた。台湾と米国が数十年来、高度に相互補完の関係にあり、米国が台湾を手助けしてきた一方で、台湾も米国が世界のリーダー的地位を維持する上で重要な協力者であるとし、これらの歴史や道理をトランプ氏や米国の人々に伝えなければならないと強調した。
トランプ氏は先月末、半導体産業が米国を離れて台湾に移ったとし、「米国に戻ってきてほしい」と発言。米国に回帰しなければ最大で100%の関税を課す考えを表明した。
陳氏は、もし米国が台湾のIC(集積回路)チップへの関税を引き上げれば「台湾のICチップは値上げすべきだろうか。値上げしなかったとしても、必ずしも米国企業に優先的に供給するだろうか」と疑問を呈し、これらは米国企業が非常に気にかけているもので、米国や台湾、その他の民主主義国家で協調し、それぞれの得意分野を担って分業し続けてこそ、米国にとっては最も有利になると語った。