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第28回金曲奨(前) 最多受賞は若手インディーズバンド

2017/07/05 15:47
最多3部門を受賞した草東沒有派対。左から世暄、劉立、筑筑、凡凡、巫堵
最多3部門を受賞した草東沒有派対。左から世暄、劉立、筑筑、凡凡、巫堵

台湾の最も権威ある音楽賞「ゴールデン・メロディー・アワード」(金曲奨)の第28回授賞式が6月24日、台北市の台北アリーナで盛大に開催された。今年はアルバム606枚、1万5934作品の応募があり、ノミネートを果たした計175作品が27の賞を争った。

◇インディーズバンド「草東沒有派対」が最多3部門受賞

今回最多受賞を果たしたのは、若手インディーズバンド「No Party For Cao Dong」(草東沒有派対)。新人賞、年間楽曲賞に加え、“死のグループ”と呼ばれたバンド賞の計3部門を制した。2012年にグループを結成した彼らは昨年ファーストアルバム「醜奴兒」をリリース。1000人規模のライブハウス公演のチケットは即完売するなど、音楽ファンの間ではかねてから高い注目を集めてきた。今回の金曲奨では前評判通りの強さを見せ、その名を一気に知らしめた。

受賞スピーチをする草東沒有派対
受賞スピーチをする草東沒有派対
バンド賞で大先輩の人気バンド、メイデイ(五月天)を下したことについて「皆さんの心の中にあるメイデイの地位は揺るぎません」と敬意を払ったボーカルの巫堵。年度楽曲賞を受賞した「大風吹」について、どんな都市にも共鳴できる部分があり、異なる私たちにも同じところがあると話し、「草東と皆さんの同じところ、そして違うところを認めてくれてありがとうございます」と独特の感性をのぞかせながら感謝を示した。

新人賞受賞者はスピーチ後にパフォーマンスをすることになっていたが、草東はメンバーのうち2人が兵役中のため、行われなかった。

トロフィーを手に喜ぶメイデイのメンバー
トロフィーを手に喜ぶメイデイのメンバー
◇中国語アルバム賞はメイデイの手に

中国語アルバム賞は今回最多8部門にノミネートされていたメイデイの「自伝」が受賞。メイデイは最終的にはアシン(阿信)の作詞者賞を合わせて2部門の受賞にとどまった。

作詞者賞受賞のスピーチをするアシン
作詞者賞受賞のスピーチをするアシン
作詞者賞でアシンの名前が呼ばれると、会場ではこの日一番の大歓声が上がった。アシンは受賞スピーチで、「作詞者賞を生涯受賞できなかったら墓に『こいつは一生取れなかった』と書くところだったけれど、それはできなくなった」と冗談交じりに語り、会場を笑わせた。

中国語アルバム賞の受賞スピーチをするメイデイ
中国語アルバム賞の受賞スピーチをするメイデイ
式典後のインタビューでアシンは「メイデイは本当に幸運。今日の結果はとてもとてもうれしい」と喜びを示した上で、草東をはじめ、新世代のアーティストが賞を獲れたことにも言及し、「多くの音楽を愛する人が注目されたのは素晴らしいこと」と中華圏の音楽を引っ張る存在としての貫禄を見せた。

中国語女性歌手賞を受賞したイブ・アイ(左)と男性歌手賞に選ばれたカリル・フォン
中国語女性歌手賞を受賞したイブ・アイ(左)と男性歌手賞に選ばれたカリル・フォン
◇中国語男・女歌手は2人とも初受賞 カリル・フォンとイブ・アイ

カリル・フォン
カリル・フォン
中国語男性歌手賞は香港の歌手、カリル・フォン(方大同)が6度目のノミネートにして初受賞。「受賞できるとは全く思わなかった。とても光栄」とうれしさをのぞかせた。

審査員団の(黄韻玲)主席によると、カリルは1回目の投票で20票中18票を獲得。圧倒的な強さを見せた。昨年発表したアルバム「JTW 西遊記」はアイデアにあふれ、野心を感じられると評価され、「これまでのカリルを超えた」と受賞理由が説明された。

イブ・アイ。写真撮影でも「ヤッフー」と叫ぶなど、うれしさを隠しきれない様子だった
イブ・アイ。写真撮影でも「ヤッフー」と叫ぶなど、うれしさを隠しきれない様子だった
中国語女性歌手賞は今回メイデイに次いで2番目に多い7部門にノミネートされ、“ブラックホース”とささやかれたイブ・アイ(艾怡良)が受賞。イブも初の女性歌手賞獲得となった。オーディション番組出身で、実力はお墨付きながらも2012年のデビュー以降、なかなか日の目を見なかったイブ。そんな中での受賞とあって、イブはこの日の受賞者の中で一番とも言える大きな喜びを全面に表現。スピーチ後の囲み取材では「名前が呼ばれた時、ジェットコースターに乗った時みたいな叫び声を上げてしまった」とお茶目に語った。

年間アルバム賞に輝いた「椏幹」の制作陣
年間アルバム賞に輝いた「椏幹」の制作陣
◇今回創設の年間アルバム賞を受賞したのは先住民歌手Sangpuy

今回初めて設けられ、最大の賞と称された「年間アルバム賞」。中国語、台湾語、客家語、先住民語それぞれの言語別アルバム賞のノミネート作品など計24枚から選ばれることから、どの作品が受賞するのかに注目が集まった。

受賞スピーチをするSangpuy
受賞スピーチをするSangpuy
栄光に輝いたのは、台湾原住民(先住民)プユマ族の歌手、Sangpuy (桑布伊)の「椏幹」。同アルバムを通じて伝えたかったのは、土地の保護に関する問題だと明かしたSangpuy。台湾の大地から創作の栄養分をもらったと話し、民族にかかわらず台湾に住むみんなが互いに尊重し、たたえ合えるようになればと願った。同作の製作費は160~170万元(約590~630万円)で、政府からの補助金があったものの、赤字の状態だという。同アルバムのプロデューサーはインディーズ音楽界の苦境に触れ、インターネットで聞くだけでなく、CDを購入してほしいと呼び掛けた。

Sangpuyは原住民語歌手賞も受賞。「椏幹」は歌唱レコーディングアルバム賞も獲得しており、同作は今回、草東に並んで最多3部門の受賞を果たした。

アルバムプロデューサー賞を受賞した荒井十一
アルバムプロデューサー賞を受賞した荒井十一
◇日本人の荒井十一さんはアルバムプロデューサー賞を受賞

日本人の父と香港人の母を持ち、中華圏の音楽業界でプロデューサーやドラマーとして活躍する荒井十一(壮一郎)さんは、パイワン族の歌手、ABAO(阿爆)のアルバム「vavayan 女人」でアルバムプロデューサー賞を受賞。同賞の受賞は2015年に続き2回目となる。「vavayan 女人」は原住民語アルバム賞にも輝いた。

会場の台北アリーナ周辺では金曲奨をPRするのぼり旗も設置されていた
会場の台北アリーナ周辺では金曲奨をPRするのぼり旗も設置されていた
受賞者リストは下記の通り。(中国語)

https://www.cna.com.tw/news/firstnews/201706245005-1.aspx

(名切千絵)

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