台湾東部の台東県から東に33キロメートル、フェリーで50分程度の海上に浮かぶ「緑島」。エメラルドグリーンの海に囲まれた自然豊かな島だ。夏にはシュノーケリングやダイビングなどマリンスポーツが楽しめるほか、野生の鹿やホタルなども見られる。美しい風景が広がる一方で、戒厳令下には多くの受難者を収容する監獄が設置されていたという悲痛な歴史も有している――。そんな光と影を同時に感じられる緑島を1泊2日で訪れてみた。
緑島の面積は約16平方キロメートル。島をぐるっと囲むように道路が設置されており、車やスクーター、自転車などで島一周を楽しむことができる。道路の全長は20キロメートル。車なら30分ほどで周れてしまう。
◇“ニモ”に会えるシュノーケリング
民宿のオーナー曰く、緑島に来たら欠かせないアクティビティはシュノーケリングと世界でも珍しい海底温泉「朝日温泉」での入浴。
島にはいくつかシュノーケリングができるスポットがあり、記者が体験したのは西側にあるスポット。
ウエットスーツとライフジャケット、シュノーケルセットを装備し、いざ海へ。浅瀬で少し練習してから2人一組で浮き輪の左右に捕まり、インストラクターに引っ張られながら徐々に進んでいくと、すぐに様々な魚とサンゴが見えてきた。透明度は抜群だ。
途中でインストラクターから餌付け用の食パンが渡され、少しずつ水に溶かすように落としていくと、魚が一気に寄って来た。魚に指を噛まれそうになることもあったが、多くの美しい魚とこんなに間近に触れ合うのはめったにない機会だ。この海域では世界最大とされる巨大サンゴも見られた。
◇世界最大海底温泉の一つ「朝日温泉」
緑島のもう一つの名所がこの「朝日温泉」。朝日温泉の目玉は世界でもこことイタリア・シチリア島、九州・鹿児島にしかないとされる海面下にある海底温泉。そのため、満潮時には海中に沈んでしまう。
記者が訪問したのは午前6時過ぎ。ちょうど干潮時だったようで、海底温泉を体験することができた。だが、残念ながらお湯はぬるく、他の入浴客らも少し浸かってすぐ別の浴槽に移動していた。ただ、ここから眺める景色は絶景だった。
朝日温泉には海底温泉のほか、高台部分にも露天風呂がある。このエリアは温度が異なる浴槽が数種類設けられている。水着着用で男女一緒に入るようになっているため、入浴客は朝日の下、友人や家族と会話を楽しみながらのんびりと温泉を楽しんでいた。
◇星空と朝日を眺める
緑島は空気が澄んでおり、特に東部は灯りも少ないため、綺麗な夜空も観賞できる。記者が訪問した日は晴天に恵まれたため、北斗七星をはっきりと目にすることができた。都会ではなかなか味わえない景色だろう。また、タイワンジカの生息地域では、ホタルも確認できた。
(2)(3)に続く。https://japan.cna.com.tw/topic/column/201605040001.aspxhttps://japan.cna.com.tw/topic/column/201605040003.aspx