ハイカラ
日本語で全く使われなくなった廃語には、英語の「high collar (丈の高い襟)」に由来するハイカラがある。明治維新の際、多くの日本人男性が丁髷(ちょんまげ)を切らされることに抵抗を感じたのだろう。何しろ、「西洋化」「近代化」という大義名分の下ハイカラにならざるを得なかったからだ。維新前、日本人が着ていた呉服には詰襟(つめえり)がない。ここもハイカラになるため、高い襟のある洋服を身にまとうしかなかった。
日本統治時代の台湾でも同じようなことが起こった。日本が台湾を手にしてからまっ先に行なったのは、台湾の男に清国支配のシンボルで「豚のしっぽ」と揶揄された弁髪(べんぱつ)を切らせること。抵抗はもちろんあったが、涙を呑むほかなかった。ハイカラに漢字の当て字がないので、アモイ語ではそのまま「ハイカラ」と言う。
ちなみに、「モダン」は終戦後、当て字の「摩登」として新たに台湾に輸入された。もちろん、日本人にはチンプンカンプンだ。