南部・嘉義県の観光地、阿里山の麓には柿の生産が盛んな番路郷がある。同郷では現在、干し柿の加工品シーズンが始まっており、番路郷農会(農協)は阿里山の山麓ならではの甘い味を守っていきたいとしている。
番路郷は干し柿に向いている「牛心柿」を主に栽培している。農会の趙幸芳総幹事によれば、今の栽培面積は約200ヘクタールで、1ヘクタールの柿農園では毎年約1万8000キロから3万キロの柿を収穫できるという。
だが、7月に襲来した台風の影響で今年、収穫可能な柿が4割しか残っていない。柿農家が安心して農作業を続け、生計を維持することができるよう、同農会は今年、買い上げ価格を引き上げた他、15日には干し柿など柿の加工品づくりを始めた。
従来の干し柿づくりの他、柿の葉でつくったお茶や干し柿の表面についている「柿霜」と呼ばれる白い粉を使用したレトルト食品など、多彩な加工品が開発されている。
「農会の役割は農家と共にあることだ」と話す趙さん。豊作のときも、不作のときもこの土地と産業を守り、安定した農産物の価格を確保しなければならないと強調。農家の収入不安定が原因でかつて500ヘクタールあった柿の栽培面積も近年では200ヘクタールに減ったと振り返った。