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日本時代の作家の手稿日記、台南の文学館で展示 生活や交友など日本語で記録/台湾

2024/02/15 18:20
台南市の国立台湾文学館で展示されている「呂赫若日記」(同館提供)
台南市の国立台湾文学館で展示されている「呂赫若日記」(同館提供)

(台南中央社)日本統治時代生まれの作家、呂赫若(ろかくじゃく)の手稿「呂赫若日記」が修復を終え、南部・台南市の国立台湾文学館で展示されている。日記は現存する唯一の手稿で、長年にわたって保管していた遺族から2020年に同館に寄贈された。呂が文学芸術の分野で最も盛んに活動した1942(昭和17)~44(同19)年の3年間の生活や交友、創作などが日本語で詳細に記録されている。

同館や文化部(文化省)によれば、呂は1914(大正3)年、台中州豊原郡(現在の中部・台中市)生まれ。封建的な家族制度が抱える問題や植民地で人々が受ける抑圧などの社会問題をテーマにした作品で知られ、代表作には「牛車」や「冬夜」などがある。音楽や劇作でも名をはせた。戦後は反政府活動に身をささげ、51年までに逃亡先で命を落とした。

遺族は呂が残した作品などに注目が集まることを恐れ、実家のライチ畑に全て埋めた。だが腐食が進み、手書きのもので残っているのは「呂赫若日記」のみ。日記は戒厳令下の白色テロ時代には呂氏の子孫が受け継ぎ、93年、学術調査の過程で存在が公にされた。子孫によれば、台湾で墓参りをする日とされる清明節(4月5日前後)には毎年、家族が日記を通じて故人に思いを寄せていたという。保管の困難さなどを理由に、呂の長男が同館に託した。

同館は、貴重な一次史料を通じて一時代の魂を垣間見ることができると紹介。困難な歴史の中にあってもなお、あふれる創作のエネルギーや理想の追求、自由への憧れによって、日本統治時代の農村という題材や思いやりの精神を後世に伝えていると説明した。

同館の開館20周年を記念した特別展「館慶二十・文物賦活」で展示されている。7月14日まで。

(張栄祥、邱祖胤/編集:田中宏樹)

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