甜不辣と運将
台湾各地の盛り場や道端の屋台などに 「甜不辣」(テンプラ)の三文字が書いてある小料理屋の看板が散見される。 日本人がこれを見て、頭を掻かない人はいないだろう。
だが、この三つの漢字は(「天婦羅」のトランスリタレーション(音訳)でしかない。 それだけでなく、日本の海老天のような天婦羅ではないのである。早く言って、台湾の甜不辣は文字通り甘いが辛くない、穴の開いていない、小さい竹輪みたいなスナックである。だから、とっても安い。天婦羅と間違えないよう御用心。
台湾でタクシーの運転手は「運将」(ウンチャン)と呼ばれている。これはハイブリッドの当て字である。事実、運転手は北京語で司機(スーチイ)である。「機械を司る人」の意味。しかし、台湾人は、日本人から自動車の運転手がスラングで「運ちゃん」と呼ばれるのを知って、そのスラングをそのまま「運将」に書き換えた。 けれども、「運将」の「運」を北京語発音の「ユン」でなく、アモイ語発音の「ウン」で呼ぶのである。