(雲林中央社)青森県大間町の大間稲荷神社に祭られている航海の女神、媽祖の像が16日、分霊元である中部・雲林県の北港朝天宮に初めての里帰りを果たした。朝天宮の関係者らにより、爆竹や音楽などで盛大に迎え入れられた。
媽祖像は稲荷神社や同町観光協会の関係者らによって14日に大間町を出発し、フェリーや飛行機、バスで北港まで運ばれた。朝天宮によれば、媽祖像は1996年に分霊されたもの。今回の里帰りのために綿密な調整を重ねたという。
信者が各地に分霊された媽祖をみこしなどに乗せて朝天宮に向かう風習「北港進香」は今年2月、国の重要民俗に指定されることが決まった。朝天宮の蔡咏鍀董事長(会長)は報道陣の取材に対し、媽祖信仰の熱が日増しに増しており、台湾だけでなく世界各国に広がっていると言及。大間の媽祖像が2800キロの長旅を経て北港に戻ってきたのは、北港進香による媽祖信仰が遠くまで広がっていることを示していると述べた。
大間町観光協会によれば、媽祖は同町では「天妃様」と呼ばれており、江戸時代に住民が海上での危機を媽祖に救われたのをきっかけに信仰が始まった説が有力。稲荷神社と朝天宮が姉妹宮となった97年以降は、毎年海の日に朝天宮の協力の下で神事「天妃様行列」が行われているという。同協会は今回の里帰りについて「媽祖様が結んでくれた台湾と大間の本格的な交流の幕開け」としている。