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藤井道人監督「夢が一つかなった」 日台合作映画「青春18×2」/台湾

2024/03/15 15:23
日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」でメガホンを取った藤井道人監督(翻滾吧男孩電影提供)
日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」でメガホンを取った藤井道人監督(翻滾吧男孩電影提供)

(台北中央社)日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」でメガホンを取った藤井道人監督が14日、台北市内で台湾メディアの合同取材会に出席した。「ずっとアジア映画を撮りたかった」という藤井監督は、今回の日台合作プロジェクト参加で「夢が一つかなった」と話した。

台湾で話題を呼んだ紀行エッセー「青春18×2 日本慢車流浪記」を原作としたラブストーリー。南部・台南出身の36歳のジミーが、18歳の時に恋をした日本人女性アミとの記憶をたどって日本を一人で旅するという物語が描かれる。原作の物語に感銘を受けた俳優のチャン・チェン(張震)が映画化を企画し、藤井監督を起用。台湾の俳優シュー・グァンハン(許光漢、グレッグ・ハン)がジミーを、清原果耶がアミを演じた。

藤井監督にとっては今回が初の国際プロジェクトとなる。合作だが「あえていつも自分がやっているスタイルのまま行くことを意識した」と明かす。現地での撮影時間や食事といった撮影のやり方は監督が変わっても変わらないため、「そのまま純粋にお互いを受け入れ合って映画を作ったらどうなるんだろうということをトライした」と話しつつ、「台湾のチームは大変だったと思う。日本のスタッフはいつも通り大変だったと思う」とスタッフをねぎらった。

「成長」や「旅」などがキーワードとなる同作。藤井監督は主人公のジミーと自分を重ね合わせた部分はあるか聞かれると、「見ないようにしてきたものとか、そこの記憶に触れてしまうと自分が壊れてしまうかもしれないというものには蓋をして大人になってきた」と振り返り、「ジミーの行動とか、プライベートに関しての優柔不断さなどは自分を投影しているように思う」と明かした。

ジミー役に起用したグァンハンについて、本人と初めて会ったその日に出演を打診したことを13日の記者会見で明かしていた藤井監督。撮影はグァンハンが36歳のジミーを演じた日本パートから始まったことを紹介し、「(その後)台湾に来て、グァンハンが髪を切って18歳になった瞬間があった。パッて見た瞬間にもう高校生にしか見えなくて、『本当にグァンハンに任せてよかったな』と思った」とグァンハンを起用したことに満足感を示した。

日本パートではグァンハンは日本語をたくさん話さないといけないということもあり、緊張している感じもあったという。だが、台湾に来た瞬間「俺のホームだよ、よしやるよ」という風に雰囲気が一変。まるで18歳の青年のように監督をからかうようになったというエピソードを明かし、藤井監督は「楽しくできました」と笑みを浮かべた。

同作では日本の美しい雪景色が写し出される。だが実は藤井監督自身は雪が「めっちゃ嫌い」と告白。渋谷で雪で骨折した経験があるからだという。ただ、企画書をもらった際に雪景色の中を電車が通っている写真があったため、このような景色を企画側から求められていることを理解し、「嫌いだけど入れました」と冗談交じりに話した。

台湾パートでも日本パートでも、天灯(スカイランタン)上げのシーンが登場する。藤井監督によれば、ジミーとアミが出会った台南からランタン上げで有名な北部の町までの距離が遠いことから、実は一度はそのシーンを入れないことにしていたという。だが後にジミーの日本一人旅のルート沿いでも天灯上げのイベントが開催されていることが分かり、盛り込むことにしたという。「お互いの青春や願いがベースにある物語で、『二人の感情が空に上っていく』といった映像表現としてもやりたい」と考えたと話した。

日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」の劇中写真(翻滾吧男孩電影提供)
日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」の劇中写真(翻滾吧男孩電影提供)

衣装の色にも思いを込めた。36歳のジミーはシックな色の洋服を着ているが、18歳のジミーはオレンジ色が多い。藤井監督は、日本の青春の色は「青」だが、台湾の人に聞くと「オレンジ」との答えがみんなから返ってきたと明かす。そこで、ジミーのパーソナルカラーをオレンジ、アミのカラーを青にした。36歳のジミーの場合は「青春の色があせてしまった色」を選び、色を通じて「老い」や「心の中で失われてしまったもの」を表現したという。

台湾にもルーツを持ち、約10年前には台湾留学を経験したこともある藤井監督。以降も年に2~3回は訪台し、2019年には台湾の映画会社を訪ねて営業活動を行い、その縁が今回のプロジェクト参加につながった。姉のように慕っている映像作家ゾーエ・リン(林之語)監督をはじめ、台湾には支えてくれる先輩がたくさんいるという。

台湾に住んでみたいか聞かれると「住みたいですね」と小声でしみじみと語り、「(台湾に)着いた瞬間、もう帰りたくない」と台湾への愛をにじませた。

日本では5月3日公開。台湾では公開中。

(名切千絵)

影片來源:牽猴子電影粉絲俱樂部
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