台湾のグルメが集結する「台湾美食展」が8月10~13日、台北市の台北世界貿易センター1号館で開かれた。台湾の飲食業者のPR支援とグルメの国際交流のために台湾観光協会が毎年開催している同イベント。27回目の今年は「Good-eating Taiwan」をテーマに、台湾グルメの「地域性」にスポットが当てられた。
▽台湾各地の国家風景区のグルメが勢ぞろい
会場のほぼ中央には、北から南、離島まで全国12の国家風景区管理処が揃って出展するエリアが設置された。各ブースでは、ご当地の名産を紹介。台湾原住民(先住民)が暮らす茂林(高雄市)や日月潭(南投県)、阿里山(嘉義県)など各管理処ブースでは、伝統衣装姿のスタッフが商品を紹介したり、試食を配ったりしていた。
▽増加するムスリム観光客をターゲットに
南アジアや東南アジア諸国との関係強化を目指す「新南向政策」を進めている台湾。観光局はこれらの国々に対する観光誘致に力を入れている。2017年の統計では、地域別の訪台客数に新南向市場が占める割合は2015年の15%から21%に増加した。これらの市場にはムスリム(イスラム教徒)が多いことから、今年の同展では「ムスリム美食館」を設置。ムスリム向けのメニューを提供する飲食店などが出展した。
中でも目を引いたのは、ムスリム対応の「ハラール認証」を取得した食品や飲料などを提供する自動販売機。台湾では初めてだという。自販機を開発した清真国際聯合(新北市)の担当者によると、同機はまだ市場での運用はされておらず、今年末の運用開始を目指す。まずは病院などに設置する予定だという。
▽精巧な野菜彫刻も展示
野菜で作った彫刻作品を展示するエリアもあった。出展作の一つの作者で、台湾や世界の大会で数々の金メダルを獲得している高世達(東方設計大学飲食管理学科講師)さんによると、出展作品にはタロイモ200~300個やサツマイモ、ニンジン、カボチャなどを使用。約2週間で完成させたという。
▽庶民派グルメの人気店が一堂に
お昼時に多くの来場者で賑わっていたのは、各地の庶民派グルメの人気店が集結する経済部出展の「美味食光」エリア。今年は「魯肉飯フェス」も合わせて開催され、複数の魯肉飯店が立ち並んだ。
特に行列ができていたのは、南部・高雄市旗津の「海浜海産」。イタヤガイやエビなどの海鮮の下に春雨を入れ、その場で蒸したメニューを提供しており、その蒸気に引きつけられるかのように、来場客が次々と列に加わっていた。▽その他のエリア
日本からの出展もあった。香川県や岩手県、札幌市はそれぞれブースを設置。岩手県は、昨年台湾で日本産牛肉の輸入が解禁されたこともあり、県産ブランド牛「いわて牛」の販売や試食を実施。試食には多くの人が列をなした。
(名切千絵)